俗世灼く 炎天知らぬ 岩の苔

実験的にnoteと同じ内容を載せています。

基本情報は「持ってると有利」というより「持ってないと不利」な資格

基本情報を受ける意味ってある?基本情報を取らずに応用情報を取る人もいるよね?

 エンジニアの皆さま、情報処理技術者試験・支援士試験情報/令和3年度秋期試験申込みが受付開始になりましたね。私は応用情報を受けるつもりです。勉強に全く手が付きません。

 さて、今回は応用情報ではなく、基本情報の話をしようと思います。今年の春季試験で、私はトータル4回目の挑戦(そのうち1回は免除試験)で基本情報に受かりました。もっと詰めて勉強してたらもっと早く受かってたでしょうが、サボり魔なので勉強すること自体が困難でした。それにしても、本当は基本情報より応用情報の方が欲しかったので、やっと応用情報の対策に取り組めると安堵しています。

 さて、先ほどの「基本情報より応用情報の方が欲しかった」との箇所、違和感を覚えた方もおられるでしょう。基本情報じゃなくて応用情報を受ける方が筋だろう、と。実際、基本情報ではなく応用情報を先に受験する人もいますし、基本情報がCBT方式になってからは応用情報と同時受験する人もいたようです。しかし、私は様々な理由があって、基本情報を受けました。今回はまず基本情報を受けた理由を、受験理由を自覚した順に書いていこうと思います。

理由①自分が応用情報に受かるには基本情報を取ってからの方がいいと判断した

 私は最初、応用情報から先に受けていました。最初の職場では情報処理技術者の資格の取得が推奨されていましたが、資格手当がつくのは応用情報以上だったからです。そこで新卒1年目では応用情報の取得を目指しました。しかし、午前の勉強をするうちに解説を読んでもわからないことが多すぎることに気づきました。情報系出身者には理解できる内容でしょうが、私は生物系出身で情報系の知識はほぼありませんでした(だから私は文系エンジニアを自称しています)。

 そこでふと思いついて、基本情報の過去問や参考書を見てみました。当たり前と言えば当たり前ですが、応用情報とは打って変わって私にでもまだ理解できる内容ばかりで、より基本的なことをやっていると判断できました。そして、午前試験に関しては基本情報の中では難問レベルのものが応用情報では普通レベルとして扱われていると判断しました。

 そこで、
・基本情報合格レベルになってから応用情報に挑まないと自分がパンクする
・基本情報の内容を知ってからの方が試験勉強がしやすい
と考えて基本情報から受けることにしました。そして今やっと基本情報に合格して応用情報の勉強をしていますが、先に基本情報を取る戦略で正解でした。基本情報に受かってからの方が、苦痛を感じずに淡々と勉強に取り組めます。

 特にアルゴリズムや組込みシステム開発といった、基本情報の疑似言語が嫌いな人なら絶対に選択したくない分野に抵抗がなくなりました。私は疑似言語、つまりアルゴリズムが嫌いすぎて、恐れ多くも「アルゴリズム爆発しろ」と言いながら勉強していた罰当たり野郎です(後で罰が当たりそうで不安です。電気電子の神様ごめんなさい)。そんな人間でも落ち着いて勉強できるようになりました。気持ちの問題かもしれませんが、たとえ気持ちの問題だけでも大きいです。

理由②基本情報レベルの技術知識がないと業務で不利

 新卒3年目までは仕事がしんどいのは当たり前ですが、文系エンジニアは情報系出身者より技術知識がないので余計にしんどいです。どの工程でも情報系出身者の方が早く仕事が終わることが多いです。

 そこで文系エンジニアは自己研鑽するしかありません。では何を勉強するのか?案件や担当業務にもよりますが、私にとって基本情報午前試験の試験範囲は知らないと困ることばかりでした。それならもっとちゃんと勉強しとけと過去の自分に言いたいんですけどね。

 さらに私は上司やベテランエンジニアから「エンジニアの仕事ではアルゴリズムが重要!」と言われてきました。このアルゴリズムの勉強を避けては通れないのが基本情報午後試験です。入手しやすいアルゴリズムのわかりやすい教科書と言えば基本情報の疑似言語対策本なので、幅広い基礎知識よりもアルゴリズムの勉強をしたい人でも基本情報にチャレンジする価値はあると思います。ちなみに私はアルゴリズムは大嫌いだったので、後手後手になっていました...

理由③基本情報合格レベルの知識やスキルを身に着けることで、文系エンジニアは情報系出身者に近づける

 理由②でも文系エンジニアのことを書きましたが、ここでは文系エンジニアが情報系出身者に近づくためのいち手段について書きます。基本情報の勉強は情報系の学部・専門学校の授業内容と被っています。一部の情報系学部・専門学校では特定の科目を履修すれば基本情報の午前免除試験の受験資格、それどころか午前試験免除の資格が手に入ります。

 基本情報合格を1年度の目標に掲げている情報系専門学校のコースも存在します。はてなブックマークでバズって星が830個も付いた、このブログ記事にその詳細が書いてあります。

kirimin.hatenablog.com

ぼくの通っていた学科では、「入学した年の秋に基本情報に合格し、在学中に応用情報に合格する」というのを一応目標に掲げていたので、座学の授業は基本的に情報処理技術者試験のカリキュラムに沿って行われます。

 つまり、少なくとも基本情報(最低でも午前免除試験)に合格するだけのスキルと知識を身に着けることは情報系出身者に近づくことなのです。ひよっこ文系エンジニアはcisco製品を熟知しているなどの何らかの得意分野がない限り、基本情報レベルの勉強はした方がいいです。

 一方で、情報系出身者にとって基本情報は簡単なはずです。ノー勉で受けて合格した情報系出身者の話も何回か聞きました。だから基本情報を持ってない情報系出身者はちょっともったいない気もします。なお、ここからは愚痴になりますが、一部の情報系出身者から「基本情報なんか簡単なのに何で落ちるの?」と心ないことを言われたことがあります。甘えるつもりではないですが、文系エンジニアのバックグラウンドぐらいわかってほしいです。

理由④基本情報を持ってないと案件アサイン、人事考課や転職で「不利」になる

 この理由④はエンジニアとしての働き方やキャリア形成への影響度が大きいです。この記事の中で一番多くの人にとって大事な話かもしれません。私は基本情報を持ってないがゆえに痛い目にあったことがあります。待機中だったけれど基本情報を持ってないので案件のメンバー候補になれなかったのです。基本情報午後試験に僅差で落ちたばかりだったので余計に響きました。

 基本情報の有無は人事考課にも影響します。基本情報を持ってないので昇進できないとの話を何件か聞いたことがあります。資格の有無で昇給昇進を決めるのは時代遅れとの説もありますが、会社をやめたくないなら会社の方針に従う他ありません。

 転職でもそうです。いや、転職だとなかなかシビアな問題だと思います。私は転職時に基本情報を受けるかどうかはよく聞かれました。それだけならいいのですが、グループ面接で一緒だったアラフォー男性が「なんで基本情報を持ってないんですか」と他の転職者の前で激詰めされていました。見たくなかったです。彼がヘルプデスクや情シスのような幅広い知識が要求される職種を希望していたのもあるでしょうが、基本情報を持っていないことがここまで突っ込まれるとは思いませんでした。

基本情報は「持ってないと不利」な資格なので、よわよわエンジニアなら取っておいた方が無難

 さて、ここまで基本情報合格を目指した理由を書いてきましたが、これはあくまで私にとっての理由です。受ける理由、受けない理由は人それぞれです。例えば、インフラ専門でやっていきたい人は資格を取るならLPICciscoの認定試験を優先するでしょう。簿記や証券外務員などの業務知識系の資格試験以外は受けず、特定の言語のスキルを高めることに全振りする人にも会ったことがあります。

 また、応用情報の方が欲しいなら応用情報合格を先に狙う方法もあります。上司から「応用情報が難しいから基本情報を受けます、とは舐めてるのか」とお叱りを受けたことがあります。これは、「基本情報を持ってなくても努力すれば応用情報は受かるから、まずは初志貫徹で行こう」という意味だったのかもしれません。実際に、文系出身のエンジニアやコンサルタントでも基本情報を受けずに応用情報に受かる人もいます。中には基本情報なんか取る必要はないから、応用情報を取れというブログ記事を書いている人もいます。

 しかし、私が自分より若い人に「基本情報ってなんか持ってて意味あるんですか」と聞かれたら、「基本情報は持ってないことが不利になるケースがある。特に強みやポリシーのない人、エンジニアとしての実力に自信のない人なら取っておいた方が無難。」と答えます。突出した強みのないエンジニアやよわよわエンジニアを補強する資格が基本情報だと思うのです。