俗世灼く 炎天知らぬ 岩の苔

実験的にnoteと同じ内容を載せています。

『おおかみこどもの雨と雪』が突貫工事に思えて仕方ない

 今晩の金曜ロードショー細田守監督の『おおかみこどもの雨と雪』。
感動するとの意見も、突っ込みどころだらけとの意見もあるが、その詳細についてはここでは書かない。それよりも、この作品で私が一番気になるのは、突貫工事で作られたとしか思えないことだ。
 何の事情があったかは知らないが、本来なら時間をかけられるところを急いで作ったように思える。明確な根拠はない。しかし、時間不足であったことが推測される部分はある。

 ひとつは影が省略されていることだ。例えば『時をかける少女』では木陰も人の影もちゃんと描かれていた。『バケモノの子』でも人間や獣人の影はしっかり描かれていた。
 しかし本作では、人間と狼人間の影が省略されている箇所が目立った。画面を見やすくするための工夫かもしれないが、時間がないから省略したとも思える。

 もうひとつは脚本や設定の突っ込みどころの多さだ。他の作品に比べたら突っ込みどころが多いのは、推敲や設定のチェックが甘いからではないだろうか。もうすこし製作に時間が取れるなら突っ込みどころは減っていたかもしれない。

 製作時間が本当に不足していたかもわからない。もし時間不足が本当なら、なぜ時間が不足したかはわからない(おそらく「家族で見られる映画を作れる宮崎駿の後釜」の名を早く定着させたいというのはあるだろう)。けれども私には、何かに間に合わせたくて急いで作った作品としか思えなかった。